介護めしはとにかく柔らかくのど越しのよいものを

にんじんスープ

認知症の人の在宅介護(ケア)に特化した「食事」に関することの具体的なアドバイスとポイントを解説しています。家庭、家族によって様々な知恵と工夫があると思います。子育てを経験したベテラン主婦の知恵や工夫も素晴らしいですが、男性の介護、仕事を持っての介護、老夫婦同士の介護、遠距離介護にも参考になれば幸いです。

こころのクスリBOOKS よくわかる認知症ケア

川崎幸クリニック院長 杉山孝博 監修

1973年、東京大学医学部卒。東京大学医学部付属病院で内科研修後、地域医療に取り組むために川崎幸病院(神奈川県川崎市)に勤務。1981年、「呆け老人をかかえる家族の会(現・認知症の人と家族の会)・神奈川県支部」の発足当初から会の活動に参加。現在、(社)認知症の人と家族の会副代表理事、神奈川県支部代表。往診・訪問看護を中心にした在宅ケアに取り組み、「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」「上手な介護の12か条」を考案、普及。NPO法人全国認知症グループホーム協会顧問や、厚生労働省関係委員としても活躍中。主な著書・監修書に「杉山孝博Dr.の認知症の理解と援助」(クリエイツかもがわ)「ぼけー受け止め方・支え方」(家の光協会)「痴呆症老人の地域ケア」(医学書院)「認知症・アルツハイマー病、介護・ケアに役立つ実例集」(主婦の友社)などがある。

(引用、解説しています)

「食事」

自分で食べられる力を大切にしましょう

食事の支度は大変ですね。気負って頑張りすぎないように、いつもの食生活に少しずつプラスするのがコツです。

ポイント

  • いつものテーブルで、いつもの時間に、同じ食器で、がリズムをつくり安心感を生みます。
  • 70歳を超えたら、肉や魚の動物性タンパク質と緑黄色野菜を積極的に摂ることが大切です。
ミキサー食
  • 量は少な目に、柔らかく、飲み込み具合をチェックしましょう。
  • 特別に作るのではなく、家族分の完成料理の1部分を取り出して、柔らかくしたり、細かくきざんだり、ミキサーでドロドロ状にしたりして、簡単にしましょう

・本人のペースに任せる

  • 認知症の人が食事をしている時、子どもをしつけるように叱るのはよくありません。
  • 食べ物をこぼしても、スピードが遅くても、大した問題ではないと割り切ることが大切です。本人が食べるペースに任せましょう。
  • 食べこぼしがひどい時は、ビニールの介護用のエプロンをつけてあげたり、足元に新聞紙や広告紙などを敷くと、後かたずけがサッと楽にできます
  • 食事介助してあげるのは、よほど体力が弱っている時だけにします。
  • 箸が使いにくそうなら、つかみやすいスプーンやフォークにしたり、おにぎりなどで、手づかみにしてもよいでしょう。

スプーンなどの取っ手が握りやすく太くなった介護用品もあります、握りやすい後付けの介護用品もありますし、100円均一グッズの介護コーナーにも見受けます。食事は楽しみの1つです。

・水分補給が重要

高齢者になると水分補給が少なくなる傾向にあります。

  • 喉の渇きを感じにくくなる
  • トイレに何度もいくのがおっくう
  • トイレに間に合わなくなるのがいや
  • 水分こそ、サラサラして飲み込みにくい

などの理由を持っていることもあります。

高齢者は腎機能が低下して、体内に水分をためておく能力が低くなりますから、若い時以上に水分を小まめに摂る必要があります。

ハチミツのトロミ

特に、嚥下障害(えんげしょうがい)がある場合は、サラサラした水やお茶は飲み込みにくいのです。「トロミ」をつけ、飲み込みを工夫しましょう。薬局に「トロミ剤」が販売されていますので、それを利用します。

本人の飲み込み具合に合わせ、様子をみてトロミ具合を調節しながら、水やお茶の他にも、ジュース、スープ、みそ汁などの汁物にはすべて使うようにしてください。

あるいは、料理によっては、片栗粉でトロミをつけたりします。何でも食べることに意義があるのですから、工夫しだいで介護は楽になります。便秘解消にも水分補給は大切ですし、野菜を上手く食べさせることで排泄もスムーズになります。

「低栄養を予防する食生活指針14か条」

(熊谷修・人間総合科学大学教授(高齢者栄養学)らによる東京都老人総合研究所作成)

  • ①3食のバランスをよくとり、欠食は絶対に避ける
  • ②動物性タンパク質を十分にとる
  • ③魚と肉の摂取は1:1の割合に
  • ④様々な種類の肉を食べる
  • ⑤油脂類を十分に摂取する
  • ⑥牛乳を毎日飲む
  • ⓻緑黄色野菜や根野菜など多種類の野菜を食べる。火を通して量を確保
  • ⑧食欲がないときはおかずを先に食べ、ご飯を残す
  • ⑨調理法や保存法に習熟する
  • ⑩酢、香辛料、香味野菜を十分に取り入れる
  • ⑪和風、中華、洋風と様々な料理を取り入れる
  • ⑫会食の機会を豊富につくる
  • ⑬かむ力を維持するため、義歯に検査を定期的に受ける
  • ⑭健康情報を積極的に摂り入れる

・仕事を持っている介護者、老々介護(老夫婦同士、老兄弟姉妹の介護など)、遠距離介護(娘、息子が遠距離で暮らしている介護)の場合

訪問介護サービスの制度を利用して、訪問介護(ヘルパー派遣)を受けましょう。ヘルパーが訪問して食事の世話をしてくれます。あるいは、日中はデイサービスを利用して、引継ぎでヘルパー訪問をしてもらうことも可能です。(デイサービスでは、「食事」「入浴」「排泄」全て任せられます)

ヘルパー訪問では、

・朝、昼、夕の訪問回数
・食事は作ってもらうのか、自宅で用意するのか
・食事介助(食べさせてもらう)はいるのか

など決めておくとスムーズに事が運びます。悩んだときは、ケアマネジャーが付いてくれるので相談するのが1番です。途中でキャンセルや調節ができるので気負わず利用しましょう。

食事を自宅で用意できる場合、と言っても、毎日のことですから、簡単に出来る物を。

  • 糖尿病や血管性疾患などの食事制限がいる場合は、それに特化した宅配弁当が断トツに便利。
  • 食事制限がなければ、本人が好きなものを用意しましょう。
  • 水分補給も忘れずに。
  • 糖分は控えめが理想です。
  • 飲み込みが良くなるように「トロミ剤」も用意しましょう。

【食事例】

  • 朝食 →パン食、スープ(必要に応じて「トロミ剤」)で簡単に
  • 昼食 →出かける前に、宅配弁当、お茶や汁もの(トロミ)を用意しておく
  • おやつ→ゼリーや果物、蒸しさつま芋(薄切りや一口大)など
  • 夕食 →お惣菜を1~2品利用すると簡単に献立ができます(仕事返りにスーパーやコンビニで買い物)
ミキサー食
  • 健常食がそのまま食べれる場合は温めたり、飲み込みが悪い時は、出来上がりの料理を細かく刻んだり、ミキサーで流動食にしたりしてあげましょう。
  • 刻むのも、キッチンバサミでチョキチョキと簡単に済ませたり、ミキサーも1人前の少量で済むくらいの大きさのがよいです。後かたずけも楽です。
  • ご飯やおかゆはヘルパー訪問のときに炊いて冷凍してもらうよう頼んでおくことも可能です。
  • レンチンご飯パック、レトルトおかゆも上手く利用しましょう。そのほか缶詰や冷凍食品も、スーパーに買い物に行ったら、基本の買物にプラス1~2点をして、常時、買い足しておくのがコツです。
  • 休日に、1週間分炊飯して冷凍しておくと便利です。介護者自身の食事も忘れずに、栄養をバランス良くしっかり摂りましょう。

とにかく毎日のことですから、簡単に、しかし、ポイントは守って、楽しい食事を目指してください。

認知症の人が食事をするときに知っておくと役に立つこと

すわって食事をする場合の注意点

高齢者の食事風景
  • ①少し前かがみで
    • 食べ物を上手く飲み込むために、少し前かがみ姿勢になります。頭を前に出すと、口が喉より下に位置するので、食べ物が気道に入るのも防げます。
  • ②深く座る
    • 背もたれのあるイスに、深くかけます。背中にクッションをおくと、自然に前かがみ姿勢になれます。テーブルと体の間にすきまができないようにしましょう。
  • ③足を床に安定させる
    • 安定して座るためには、足の裏がきちんと(足裏が全部)床についていることが大切です。小柄な人で床につかない場合には、足台を使いましょう。
  • ④同じ位置に並べる
    • 認知症の人がわかりやすいように、ご飯、おかず、汁物などは、いつも同じ位置に並べてあげましょう。
    • 食べ物が適温か確かめ、汁物から食べてもらいます。
    • 飲み込みに合わせて「トロミ」を用意しておく。

 介護者がすわるときには、横に

仲良く食事
  • ①介護者は、認知症の人の横にすわって、一緒に食べましょう。食事のテンポを本人のペースに任せられるのはこの位置です。
    • 習慣になっていれば、向いに座ってもよいのですが、人によっては監視されているように感じるかもしれません。
  • ②食事を残していないか、食べる量が少なくないか、気を付けて見守ります。
    • 少ないようなら原因を確かめます。
  • ③食事介助をして(食べさせてあげる)量を補うようにします。
    • 食べ物をあげる場合は、必ず下から差し出すように、
    • 自分が食べるときと同じくらいの角度がよいのです。
    • ただし、無理強いはしないようにします。 

「ごっくん」が1秒以上なら、「トロミ」をつける

嚥下障害02

喉(のど)の筋力の低下や、血管性疾患(脳梗塞や脳卒中などの病気)の後遺症でマヒがある場合、気道が閉じて嚥下反射(えんげはんしゃ)(食べ物を食道に送り込む反応)が起きなかったり、飲み込む速度が遅くなり、むせたりつっかえたりするようになります。これが嚥下障害(えんげしょうがい)です。

誤って食物などが気管に入った場合は、嚥下性肺炎になる恐れがあるので注意が必要です。液体を飲み込むのに1秒以上かかるようなら、なめらかに通るよう、柔らかく調理したり、ゼリー状にしたり、「トロミ」をつけたりします。

「トロミ」はポッテリしないように濃さを、飲み込みやむせ具合に合わせて調節します。(基本的には「ハチミツくらいのトロミ具合」がいいかと思います)

【とろみメニューの例】

ミキサー
  • ①野菜ジュースやリンゴジュースにおかゆ(レトルト食品で可能)を加え、ミキサーにかけます。味がまろやかになり、トロミ剤を使わなくても、飲み込みやすくなります。
  • ②ゆであずき缶詰と豆乳をミキサーに入れ、様子を見ながら、ペースト状(粒がなくなりトロミが出たら)になったらさらに、豆乳を加えて、ミキサーし、飲み込みやすい和風のおやつジュースになります。

市販の介護食も活用

ミキサー食事
#ミキサー食

食事の支度は毎日のことですから、無理をしては続きません。現在は様々な種類の介護食が市販されていますので、活用しましょう。オンライン通販では、食事制限者むけの食事、介護用ミキサー食など、便利で低価格の冷凍保存できる宅配弁当がたくさんあります。

親の介護食や病気制限食におすすめ宅配弁当6選→

介護保険制度の訪問栄養管理指導では、管理栄養士のアドバイスが受けられます。介護食選び、メニュー作り、調理法などを相談するのもおすすめです。

おまけ(笑)

ベビー

窒息しないようにしたいものです。最後までお読み頂きありがとうございます。

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました