認知症は生活習慣病ですから、予防していく手段があります。食事術に加えて、運動、睡眠、マインドセット(心の持ちよう)嗜好品にも、摂っていいもの悪いものがあります。なぜそうなのか、名医がわかりやすく教えた、認知症予防のポイントとコツ、驚くべき新常識にも触れながら今すぐ始められる簡単な予防法を解説していきます。
著者 江部康二(えべ こうじ)
1950年、京都府生まれ。京都市右京区・高雄病院理事長。数多くの臨床活動の中からダイエット、糖尿病克服に画期的な効果がある「糖質制限食」の体系を確立。ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)にて糖尿病や糖質制限にまつわる情報を日々発信している。『「糖質オフ!」健康法 主食を抜けば生活習慣病は防げる!』(PHP文庫)、『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』(ダイヤモンド社)など、多数の著書がある。
名医が考えた認知症にならない最強の食事術(2020年6月24日 第1刷発行)
(解説、引用しています)
認知症は生活習慣病だったのです
認知症にならない最強の食事術とは・・・の結論は、「糖質制限食」です。
世の中には様々な「糖質制限食」がありますが、著者 江部康二(えべ こうじ)ドクターの教える「糖質制限食」をひも解いていきます。
不安の9割を解消する生活習慣常識
食事術に加えて気をつけること
「糖質制限を抜きに認知症は語れない」と、江部先生は断言されています。しかし、それ以外にも予防法として心がけて欲しい事がいくつかあります。
- 「運動」
運動をするとインスリンを使うことなく、血中のブドウ糖を諸費することができる、ので、
認知症予防には大きな効果を発揮します。 - 「心のもちよう」
ネガティブな考えを捨てて良好な人間関係を築くことは、大きなメリットをもたらします。
1例としては、免疫力のアップがあります。免疫力が高いと認知症をはじめとする様々な病気にかかりにくくなるので、心の持ちようは大切です。新しいことへのチャレンジも脳にいい刺激を与えます。 - 「睡眠」
- 「喫煙の弊害」
- 「アルコール」
食事術に加えて日々の生活習慣にこれらを反映させることで、認知症とは無縁の将来につなげていけます。
脂肪になる前に「運動」で血糖値を消費!

「運動」をすればインスリンの追加分泌を防げる
糖質を摂ると体内でブドウ糖(血糖)になって血糖値を上昇させます。
インスリンの追加分泌によって、血糖はエネルギー源として筋肉に取り込まれ、さらに肝臓に蓄積される、という仕組みでした。
そこで収まりきれなかった血糖が脂肪となり肥満をもたらすわけです。ということは、筋肉を動かせば血糖の消費量が増えて、その分だけ脂肪になる量が減る、ということです。
また、血糖値の上昇は血管を傷める原因にもなります。血糖を消費することで、その危険性を低くすることもできるのです。
そもそも人間の細胞には「GLUT4(糖輸送体4)=(グルット4)」というタンパク質があり、これが血糖を取り込んでいます。「GLUT4(糖輸送体4)」は筋肉が増大することによって、その量も増えていきます。通常はインスリンが分泌されると動きが活発になりますが、「運動」によっても活発になります。インスリンの分泌がなくても活発化するのです。
インスリンの過剰分泌は、インスリン抵抗性(効き目が弱くなる)を生じるので、糖尿病の引き金になります。そして糖尿病はアルツハイマー病へとつなかっていきます。だからインスリンの分泌がなくても、血糖値を下げてくれる「運動」が、大切なのです。
「日常生活の中に運動」を取り入れる
散歩や家事、電車の中で座らない、エスカレーターを使わない、といった軽いものでも十分に効果があります。
(そもそも人間の細胞には「GLUT4(糖輸送体4)=(グルット4)」というタンパク質があり、これが血糖を取り込んでいます。「GLUT4(糖輸送体4)」は筋肉が増大することによって、その量も増えていきます。)
1日30分「インターバル速歩」

「日常生活のこまめな運動」が認知症を防ぐ
運動に関して私(著者)のお勧めするのは、「日常生活における、こまめな運動」です。とくに足を動かすようにしてほしい、と言っています。
エスカレーターやエレベーターを使わずに、階段を使うのです。「文明の利器」を使えば遠い将来そのツケは必ず回ってきます。「階段があったらラッキーと思え」です。
駅でも待ち時間には、ホームの隅から隅までを歩いてみたり、ほかの乗客を避けながら歩くので反射神経も鍛えられます。電車の中では立つと、決めておくのもOK。日常的にバスを利用する人は1つて前のバス停で降りて、その先は歩くという方法もOKです。
買い物に自動車を使っていたら、自転車に変えてみる、など。いつも自転車という人は、徒歩にもチャレンジしてください。「日常生活でこまめな運動」です。
5か月で10歳以上若返る
信州大学医学部特任教授の熊勢博先生が提唱する「インターバル速歩」もおすすめです。早歩きとゆっくり歩きを交互に3分ずつ繰り返す(1セットで6分)というシンプルなウォーキング法。
1日5セット(30分間)を週4日以上続けたら、筋肉量が増えて5か月で10歳以上若返ったという研究結果が出ています。特別な装置もいらず、お金もかからず、思い立ったらすぐできます。ぜひお試し下さい。
インターバル歩行の詳細については、「ウォーキングの科学、10歳若返る、本当に効果的な歩き方」(講談社)という本にまとめられているので、興味のある人は手に取ってほしいと思います。
かつては「20分以上体を動かさなければ脂肪は燃焼しない」と言われていましたが、現在ではその考えは否定されています。短い時間でも体を動かせば、血流は良くなり筋肉にも刺激を与えることができ、健康増進に役立ちます。
筋肉は使えば増えます。使わなければどんどん減っていきます。長期入院などで安静にしていたら、脚の筋肉が衰え歩けなくなったということが起こります。
医学的にその状態を「廃用萎縮」といい、別名「生活不活発病」と呼ばれています。歩けなくなるまで筋肉が衰えてしまうと、元に戻すのが大変です。宇宙旅行士も重力のないところで生活をしていて地球に帰ってくれば、骨がスカスカになったり筋肉が減っていて、歩くリハビリをするそうです。
タンパク質と脂質が若さを保つ
近年では高齢者の「サルコペニア」が問題になっています。「サルコペニア」とは、加齢によって筋肉の量が減り、体の機能が低下している状態のこと。それによって、転倒や骨折のリスクが高まるわけです。
サルコペニアによって健康障害を起こしやすくなった状態を「フレイル」といいますが、この段階は「介護が必要な状態の前段階」と位置づけられています。
サルコペニアの原因としては、加齢以外にも、タンパク質や糖質の不足、活動不足が挙げられます。その意味でも食生活に加えて、運動習慣にはより意識的に取り組む必要があるといっていいです。
人間は動かないと衰えるスピードが加速するので、大いに体を動かすように心がけてほしいものです。注意・・・「大いに」は「激しく」ではありません。
活性酸素を増やすスポーツは老化を早める

一念発起の激しい運動は逆効果
一般的な傾向として「よし、運動をしよう!」と一念発起した人はキツメの運動を目指すようです。
マラソンやスポーツジムに通い始めた、という話はよく耳にします。しかし、こうした激しい運動は逆に老化を早めることになります。
なぜ激しい運動が老化を早めるのか?「酸化」が深く関わってきます。酸化は体内に残る活性酸素が体のあちこちでサビを生じさせることで老化を早めます。
若いうちは体に備わった抗酸化能力が活性酸素の影響を軽減しますが、歳を重ねるとそうもいきません。抗酸化能力は衰え、活性酸素の悪影響を、もろに受けるようになるのです。
軽めの運動で十分
激しい運動をすると、ハアハアゼイゼイと呼吸が早くなります。その分大量の酸素を吸い込んでいます。当然、活性酸素の量もどんどん増えていき、サビの発生率も高くなります。なので、激しい運動は良くないのです。
普段あまり動かしていない筋肉に強い負荷をかける危険性もあります。筋肉痛や大きなケガにつながることもあり、結果、運動が出来なくなり、結果、入院、寝たきり、認知症を引き寄せるという事態だけは避けたいものです。
呼吸が苦しくならない程度の軽めのもので十分です。インターバル速歩のほかに、腰痛に負担の少ないプール歩行もお勧めです。ラジオ体操もいいです。(バランスがよいのです)軽めの負担でも筋肉はちゃんと発達します。
抗酸化酵素をつくる亜鉛、銅、マンガン

意外と忘れがちなミネラル
人は生きている限り酸素を必要とするので、活性酸素とは「一生のつきあい」を続けることになります。若いうちは抗酸化能力でバランスをとることができますが、歳をとるにつれて段々抑えきれなくなります。活性酸素は高血糖、グルコーススパイク、高インスリン血症によって増えていきます。
酸化ストレスの影響を極力小さくする方法
- 「糖分を制限」
- 「抗酸化作用をもつ食材を食べる」
抗酸化作用をもつ食材
- ミネラル・・・カルシウム、カリウム、亜鉛、マグネシウムなど
- ビタミンA・・・卵、チーズ、レバー、うなぎ、緑黄色野菜
- ビタミンC・・・緑黄色野菜
- ビタミンE・・・ナッツ類、魚介類、アボカド
- ファイトケミカル・・・野菜全般、緑茶、コーヒー
野菜の中にある色素や香り、辛味などの成分です。細かく刻んだりして、細胞膜を壊して食べると吸収率が良くなります。汁物にして丸ごと食べるのがおすすめです。
牛肉やレバーなどに含まれる亜鉛に注目
いずれの栄養素に関しても食事からバランスよく摂ってほしいのですが、意外と忘れがちなのがミネラルです。とくに、抗酸化酵素の主役クラスにあたる「スーパーオキシドジムスターゼ」(SOD)には、亜鉛、銅、マンガンなどのミネラルが欠かせません。
とくに日本人に不足しやすい栄養素が「亜鉛」です。「亜鉛」を多く含む食べ物は、牛肉やレバー、牡蠣(カキ)、イワシ、カニ缶、パルメザンチーズ、高野豆腐、ゴマなどが挙げられます。
ミネラル不足は健康に大きな影響を与えます。注意が必要です。
喫煙をすれば、すべての努力が煙と化す

血管がボロボロ、血液はドロドロに
タバコには200種類以上の有害物質が含まれており、そのうちおよそ60種類が発がん物質といわれています。国際がん研究機関によると、喫煙と確実に関係があるがんはなんと、16種類。たとえば、食道がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、肺がん・・・
喫煙によって血管もダメージを受け、動脈硬化になりやすいことはよく知られた事実です。血管はボロボロ、血液もドロドロになり、心筋梗塞や脳卒中の可能性も高くなります。
タバコはエストロゲンの作用を妨げる
さらにタバコは遺伝子を傷つけるので、老化を早めます。血管の衰えにも関係があります。
女性ホルモンのエストロゲンが記憶に関わりが深く、喫煙は、タバコに含まれているニコチンがエストロゲンの作用を妨げます。結果、認知症にも直接関わってくるのです。
近年は電子タバコや加熱式タバコなどが出てきていますが、危険がゼロになったわけではありません。
新型のタバコが人体にどのような影響を与えるのかがわかるまでには、まだ時間がかかるようです。
蒸留酒はOK、醸造酒はNG

「アルコールは記憶の消しゴム」といわれる
糖質制限食では飲酒を禁じてはいません。ただし、飲んでも大丈夫なお酒と飲んではいけないお酒とがあります。
飲んでも大丈夫なお酒は「蒸留酒」
焼酎やウイスキー、ラム、ウォッカ・・・糖質ゼロ、度数が高い
度数の高いお酒は咽頭や食道粘膜を傷害するので、ストレートはやめて、炭酸水やミネラルウォーターで割って飲むことです。米国糖尿病学会では、1日許容量が純アルコールで24g(30ml)です。
アサヒビールの糖質ゼロ発泡酒「スタイルフリー」(350ml)はアルコール分が4%なので、純アルコールは11.4g。2缶くらいなら大丈夫です。オレンジジュース、ミルクなどを使ったカクテルも避けた方が無難です。糖質がたっぷりです。
飲んではいけないお酒は「醸造酒」
ビール、日本酒、ワインなど・・・糖質が多い
糖質を多く含んでおり、たとえばビール中ジョッキーなら糖質は約16g、日本酒の場合は1合で糖質約8g。ワインは赤白ともに辛口のものは、グラス1杯で糖質1.5~2.0g。
ワインの辛口は例外的に飲んでもOKです。最近では「糖質ゼロ」のビール系のお酒や日本酒も増えてきました。これらは飲んでもOK。
お酒はビタミンB群と一緒に
脳科学の世界では「アルコールは記憶の消しゴム」といわれています。記憶をなくしてしまうほど大量のお酒を飲むことは、当然のことながらNGです。脳によくないのはもちろん、体にも負担がかかります。毎日の飲酒はアルツハイマー病の発症率を高めるともいわれています。
アルコールを飲むと体内の「ホモシステイン」というアミノ酸の濃度が高くなります。そして、脳血管障害を引き起こす可能性が生じます。さらに認知機能の低下を引き起こすともいわれています。
過度の飲酒を続けるとホモシステイン濃度が高止まりし、やがては認知症を引き起こす、ことになると考えたほうがいいでしょう。
なお、ホモシステインはビタミンB群によって分解されます。どうしてもアルコールを飲むなら、葉物野菜や肉、レバー、卵などを積極的に摂るようにしてください。ビタミンB群は糖質の代謝にも関係しているので、不足してしまうと糖化も起きやすくなります。
糖尿病にかかっている人は飲酒は基本的にアルコールが禁止です。が、例外的に、飲酒がOKの条件があります。
- 「血糖コントロールが長期にわたって良好である」
- 「肥満になっていない」
- 「糖尿病の薬を使っていない」
- 「糖尿病の合併症がない」
- 「肝臓やすい臓に関する異常な検査データや病気がない」
- 「心臓や脳に関して、動脈硬化に由来する異常な検査データや病気がない」
お酒とは上手に付き合ってほしいです。
朝日を浴びて、タンパク質を摂ろう

睡眠不足は認知症リスクを高める
日本人は世界的に見ても、睡眠時間が短いと言われています。
厚生労働省のサイトにある「就労者の睡眠時間の国際比較」によると11か国(ノルウェー、イギリス、スウェーデン、フィンランド、スロベニア、ハンガリー、フランス、エストニア、ドイツ、ベルギー、
日本)のうち、日本が最も睡眠時間が少なく、男性で7時間52分、女性で7時間33分となっています。女性の睡眠時間が短いのは、家事や育児の負担が大きいからと
考えられています。
ちなみにトップクラスのフランスでは、男性が8時間24分、女性が8時間38分、日本人女性とフランス人女性を比べると1時間の差があります。
睡眠が大切なのは、脳を休めるためです。脳が疲れると、集中力が下がり、考える力も低下していきます。生産性もダウン。脳の疲労回復には何よりも睡眠が1番なんです。
そのほかにも、記憶の整理や定着、ホルモンバランスの調整、有害物質の除去、免疫系の活性化、傷んだ細胞の修理、アンチエイジング、うつ予防など、睡眠には様々なメリットがあります。睡眠不足がもたらすデメリットはこれらの逆ということになります。
インスリンの作用が40%低下する
認知症との関連でみてみると、睡眠不足によってインスリン抵抗性が高まることが明らかになっています。1日の睡眠時間を4時間とし、それを5日間続けると、インスリンの作用が40%も低下するのです。つまり、インスリンの効き目が弱まるということです。(寝不足が続くと太りやすくなるということも・・・)
インスリンは記憶物質としての働きをもっています。脳内でも分泌されますが、すい臓から分泌されたインスリンも脳で使われます。(インスリン抵抗性が高くなっている時は、つかわれません)
つまり、睡眠不足でインスリン抵抗性が高くなると、記憶の整理や定着を妨げることになるわけです。
それが長期的に続けば、当然に認知症になってしまう確率も高まります。
また、頭の中にたまるゴミ「アミロイドβ」も睡眠不足によってたまりやすくなることがわかっています。アミロイドβはアルツハイマー病を引き起こす原因物質です。睡眠の質をたかめることの大切さが理解できると思います。
糖質制限を行っている人は寝つきが早く、目覚めも快適です。目覚めた時に頭がスッキリしていると、
本当に気持ちよく1日がスタートします。
タンパク質を摂って睡眠ホルモンを増やす
朝は日光をたっぷりと浴びるようにしてください。人間には「サーカディアンリズム(体内時計)」といって、24時間周期で体内環境を変化させる働きが備わっています。
要は、朝になると目が覚めて、夜になると眠くなるというリズムが作られます。朝日を浴びることで「セロトニン」というホルモンが作られ、セロトニンを原料にして、夜は「メラトニン」というホルモンが作られます。
メラトニンは眠気をもたらすホルモンで、夜に分泌されます。その分泌のためには、朝のうちに日光を浴びて、セロトニンという原料を確保しておかなくてはならないのです。
セロトニン・メラトニンの材料は「トリプトファン」というアミノ酸で、タンパク質を構成する1種です。つまり、タンパク質を多く含む肉や魚、チーズなどの乳製品、大豆製品などを摂ったほうがいいということです。
糖質制限食には、うってつけです。高齢になるとメラトニンが減少していき、睡眠不足になることもあります。健やかな眠りを手に入れるためにも、意識的に食事からトリプトファンを摂るようにしましょう。
「心のもちよう」で脳を健康に保つ

心理的ストレスで免疫力が大きく下がる
江部先生(著者)は医者になって半世紀近くがたちます。「病は気から」という言葉がありますが、長年医療に携わっていると、それが単なることわざではないことを実感されるそうです。気の持ちようで、病気が本当によくも悪くもなる場面を何度も体験されたということです。
ストレスによって様々な病気が引き起こされることは、すでに常識になっています。ストレスには、心理的ストレス、生理的ストレス、物理的ストレスがありますが、なかでも大きな影響をもつのが、心理的ストレスです。不安、不満、失望などネガティブな感情によってもたらされるストレスです。その主な原因は人間関係にあるといえます。
ストレスを感じると人は免疫力がさがることも明らかになっています。ストレスによってがんや心筋梗塞など、重病も引き起こされます。不安が高じると寝つきも悪くなり、それが続くとうつ病になる可能性も高くなっていきます。認知症のリスクも高めます。
物事を冷静に考えるようにする
健やかな脳を保つためのストレスに強い脳の作り方
- 人間関係に悩んでいるとしたら、
- 相手のせいにするのではなく、自分自身の側を見直してみる。「そういえば寝不足だった」「忙しくて疲れがたまっていた」など。
- 物事を冷静にニュートラルな立場で見るように意識する。風邪をひいてしまった時に「この忙しい時に、どうして・・・」と嘆かずに「最近は食事に気を付けていなかったな」と生活習慣を見直すきっかけにすれば、次からは風邪を引きにくくなります。
そういった思考の積み重ねが、脳を健康に保ち、体と心をストレスから守ってくれると考えています。
「みんな対等」で悩みの9割は解消!

「ピアサポート」とは?
逆にいえば、人間関係をよくすれば、悩みの9割は解消されると考えることもできるでしょう。
周りの人を大切にし、その人たちのためになるようなことを心がければストレスも大きく減っていきます。人間は社会的な動物なので孤立すると大きな不安を覚えます。その意味でも「仲間つくり」は大切と言えるのです。
糖質制限でも仲間同士で励まし合って続けている人たちがいます。「ピアサポートグループ」をご存知でしょうか?「ピア」とは「仲間」という意味で、同じような立場や境遇の人が対等な関係を保ちつつ支え合う、というもの。
たとえば、アルコール依存症やがん患者、認知症の患者さんをもつ家族などがグループをつくって、体験や悩みを分かち合うことで、回復を目指すといった、取り組みが行われています。
「みんな対等」チーム仲間
糖質制限グループでは、体験者が自らの体験を初心者に語ることで、様々なヒントを提供するといったことをしています。挫折しそうになった時でも仲間がいれば、励まし合うことで壁を乗り越えることができます。1人ではキツイことでも仲間がいれば、乗り越えられる、ということは実感として、わかりやすいのではないでしょうか。
ここで大切なのは「対等な関係を保つ」ということ。どちらが上で、どちらが下ということになってくると、それだけで人間関係はギクシャクしてきます。
心理的ストレスの原因を人間関係とするなら、「対等」であろうとしないことが「問題点」なのかもしれません。それぞれの立場から、「みんな対等」という意識をもって仲間つくりをすれば、それだけでも十分に認知症予防になると思います。
新しいことにチャレンジしていこう!

アウトプットで脳は活性化!
新しいことにチャレンジするというのも認知症予防に効果あります。脳に刺激を与えることは活性化につながっていくのです。
たとえば、本を読んだとしたら、そこで終わるのではなく、感想を誰かに話したり、あるいは文章にしてみるということが大切。今はネットで気軽に情報発信ができるので、これを活用しない手はありません。
江部先生(著者)自身も「ドクター江部の糖尿病徒然日記」というブログを2007年から始め、ほとんど毎日更新、現在も継続中。脳の活性化に役立っていると実感しています。
脳は使うほど若々しくなる
歳をとると新しいことをはじめるのはおっくうに感じてしまいがち。しかし、筋肉と同じで、脳も使わなければ衰えていきます。新しいことにどんどん挑戦しながら、若々しい脳を保つようにしてください。
人生100年時代を健康に過ごし、認知症の脅威を取除いてくれるのが、糖質制限食。この新たなチャレンジをぜひ楽しんでほしいと心から願っていると江部ドクターは語っています。
自分の体の状態を数字であらわすと把握しやすい
1日6000~8000歩を歩くといいということです。そのうち、速歩(パワーウォーク)が50~60%。運動をすると翌日も空腹時血糖値が普段より低くなり、早朝空腹時血糖値が、1dlあたり95㎎、は正常範囲。
江部ドクターは寝る前の血糖値より翌朝の血糖値が高くなる暁現象のため、110~125㎎と境界型のこともあるそうです。1日8000歩を確保していると、早朝空腹時血糖値、109㎎以下が多いということです。江部ドクターは糖尿病と診断された時期があったとのことです。それがきっかけで「糖質制限食」を始められたのです。
万歩計がいりますね、自分の体の状態を数値化すると把握しやすくなるということです。
まとめ
糖質制限を抜きに認知症予防は語れません!認知症を防ぐ食事術に加えて大切なもの。
- 運動・睡眠・心の持ちよう
- 運動をするとインスリンを使うことなく、ブドウ糖を消費することができる
- 筋肉を動かせば、血糖の消費量が増えて、その分だけ脂肪になる量が減る。そして、筋肉が増大することによって、血糖の消費量も増える
- 軽い運動で「日常生活におけるこまめな運動」をする。
- 「インターバル速歩」もおすすめ。
- 筋肉量が減らないよう、タンパク質、脂質をたっぷり摂る
- 活性酸素は抗酸化作用のある食材を食べて除去する
- 糖質を制限する
- 抗酸化酵素をつくる亜鉛、銅、マンガンのミネラルの不足に気を付ける
- ビタミンエース(A・C・E)も抗酸化作用があり摂取する
- 喫煙はすべての努力が煙と化す
- アルコールは蒸留酒はOK、醸造酒はNG。
- お酒を飲むときはビタミンB群を一緒に食べること
- 睡眠不足はNG。
- 睡眠不足はインスリンの作用が40%低下する
- 睡眠不足はアルツハイマー病の原因のアミロイドβがたまりやすくなる
- 睡眠ホルモンのセロトニン・メラトニンの材料は「トリプトファン」というアミノ酸なのでタンパク質をたっぷり摂る
- 睡眠ホルモンを増やすには、朝の光をたっぷり浴びておくことが必要。
- 心の持ちようで脳を健康に保つ
- 物事を冷静に考えるように、日頃から訓練していく。相手のせいにしないで、自分自身の側を見直してみる。
- 心理ストレスの原因が人間関係なら「対等」であろうとしないことが、問題点なのかもしれない。
- それぞれの立場で「仲間」「チーム」意識をもって考えていく
- 脳も筋肉と同じで使わなければ衰えていく。
- 新しいことにどんどんチャレンジしていく。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。次回は「糖質制限」の基本Q&Aコーナーをお送りいたします。認知症は生活習慣病です。毎日を最後まで元気よく健康に過ごせますように、お役に立てば幸いです。
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